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冬の神官と偽りの婚約者

鳴海茉白 / 著
壱也 / イラスト
ISBNコード 978-4-908757-28-0
定価 1,320円(税込)
発売日 2016/09/27
ジャンル フェアリーキスピンク

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内容紹介

冬の神の供物として生贄になる覚悟があったのなら、私に身を捧げるのはたやすいことでしょう?
《仮初めの婚約者でもう役目は終わったはず。なのにどうして蒼真様は私をこんな風に抱くの?》無限の雪原で暮らす冬の神官、蒼真の願いで偽りの婚約者になることを承諾した刹那。彼の優しさに触れるにつれ、蒼真への想いを募らせていく刹那だったが……。仮初めの役目が終わりこの地を去る悲しい決意をした途端、蒼真は一変する。「あなたを誰かに奪われるくらいなら、私があなたの身体をもらいます」何かを振り切るように蒼真は淫らな言葉で刹那を煽り、快楽を刻みこむ。「どうか私を受け入れて――」彼の激しく甘い愛撫に、刹那の心は乱れる。四季を司る精霊と神官が棲まう《無限の雪原》を舞台に、すれ違う想いが交錯する、じれじれラブファンタジー!

立ち読み

「──もういいです!」
 刹那の言葉に、蒼真は低く唸るように言い放つ。
 これまでにない激しい感情を滲ませた蒼真の声音に、無意識に刹那の身体がびくりと震える。
「あなたを誰かに奪われるくらいなら……っ」
 どこか絶望すら感じさせるその表情に囚われて動けずにいると、突然、蒼真が強引に刹那の肩を摑んで褥の上に押し倒し、身体の上に圧しかかるように覆い被さってくる。
「私が、刹那殿の最初の客になりましょう」
「……えっ!?」
 予想もしていなかった蒼真の言葉に、刹那は頭の中が真っ白になる。
「あなたは、ここに命を捧げに来たのだとおっしゃっておりましたね。そして、そこまでの覚悟ができているのであれば、私の相手くらい容易いものでしょう? 大丈夫ですよ。ただとは言わず、見返りはきっちりと支払わせていただきますから」
 月が雲に隠れたのか、薄暗くなった室内で、蒼真の青灰色の瞳だけが何か強い感情を湛えてギラギラと妖しく光っているように見えた。
 それはまるで獲物を見る捕食者のような瞳で、刹那は本能的に蒼真の下から逃れようともがく。
「い、いやっ、放してください!」
 力で敵わないと知っていながらも、必死に蒼真の胸を押して逃れようとするが、その手は呆気なく蒼真の手に絡め取られてしまう。
 そして、絡み合った蒼真の手のひらから、煮え滾るような熱い感情が刹那の中に流れ込んでくる。
 それは今まで刹那が感じ取ったことのあるどの感情とも異なり、あまりの激しさにそれが善なのか悪なのか、判断することもままならなかった。
 ただ、刹那は全てを暴かれて食らい尽くされるような恐怖と、それとは真逆に、強き者に征服される喜びが綯い交ぜになったような感覚に支配され、身体が硬直してしまう。
 それに気づいた蒼真は、絡めていた指を外し、刹那の両手首をまとめて片手で拘束してしまう。
「あまり、抵抗なさらないでくださいね? 抵抗されると、またあの時のように手首を縛らなければならなくなりますから」
「えっ……?」
 蒼真の『また』という言葉に、刹那は違和感を覚える。
「そういえば、刹那殿は覚えておられないのでしたね。薬を吸い込んだ、あの夜のことを」
 いたずらな笑みを浮かべてそう告げる蒼真に、刹那は手首にできていた擦り傷を思い出す。
「あの夜……、なにがあったのですか?」
 手首を縛られるようなことがあったのだとすれば、きっとただごとではなかったはずだ。
「それは──今から刹那殿の身体に聞いてみましょうか」
 そう言って蒼真は妖艶に微笑むと、刹那の寝間着の胸元に手をかけて胸元を大きく開き、たわわに実った果実を外気に曝す。
 そして、手のひらで優しく包み込むように乳房を揉みしだきながら、もう片方の乳房の中心で慎ましやかに色づいた突起を口に含んで、舌で転がすように嬲り始める。
「ひっ……、神官さ……ま、やめっ、やぁっ!」
 ちゅうっと突起を吸い上げられると、何かが背中をぞわりと駆け上がるような感覚に、刹那は息を乱しながらびくびくと震える。
 しかし、その痺れるような感覚に翻弄される頭の片隅で、刹那は気づいたことがあった。
 ──私は、この感覚を知っている。
 蒼真が突起から口を離すと、咥えられていたそこは蒼真の唾液に濡れててらてらと厭らしく光っていた。
 そして、蒼真は刹那の胸元に顔を寄せると、皮膚をきつく吸い上げていくつもの赤い花を咲かせていく。
 ──これ……っ!?
 それは、手首の擦り傷を見つけた時に気づいた、胸元の鬱血にとてもよく似ていた。
 蒼真は、今日新たにつけたものより少し色の薄くなった痕を舌でなぞる。
「また、上書きしておきますね」
「……っ!?」
 それはもう、あの夜に何があったのかを物語るには十分な言葉だった。
 どうしてそんなことになったのかは、その理由はまだはっきりと思い出すことができない。
 それでも確かに、刹那はあの夜、この身体に蒼真の愛撫を受けたのだ。
「あなたの肌はどこに口づけても甘い香りがしますね。この蕾もまるで私の愛撫を待ちわびているかのように赤く色づいて、唇や舌で可愛がらずにはいられなくなってしまう……」
 再び鋭敏な突起を咥えながら見上げてくる蒼真と視線が合い、刹那はあまりの羞恥に視線を逸らす。
 まるで自分のものではないような甘ったるい声が洩れそうになるのを、刹那は歯を食いしばって懸命に堪えていた。
 乳頭には触れぬよう、硬く尖らせた舌先でその周りだけをなぞっていたかと思うと、思い出したかのように突起を甘嚙みされ、刹那は白い咽喉を仰け反らせる。
 蒼真は胸への愛撫を続けながら、すでに力の抜けかかっている刹那の脚の間に手を滑り込ませると、指先で下着の上から秘処を撫で上げる。
 そして、まだ包皮が剝けていない花芯を捉えると、グリグリと押し潰すように刺激してくる。
「ひぁあっ!?」
 唐突な鋭い刺激に、刹那は腰をのたうたせて激しく身を捩る。
 しかし、その本能的な行動が、蒼真の目には抵抗しているように映ってしまったようだ。
 蒼真は刹那の寝間着の腰紐を引き抜くと、それで刹那の両手を頭の上に縛り上げてしまう。
「やぁ……っ、こんなの、いや……っう!」
 縛られた手首を解こうと無理に動かせば、さらに腰紐がきつく皮膚に食い込んでくる。
「暴れても、刹那殿が痛い思いをするだけですよ。お話してもご理解いただけないのであれば、あなたに触れることが赦されているのは誰なのかを、まずはこの身体にしっかりと教え込むしかありませんね」
 蒼真は刹那の膝を摑み、強引に左右に大きく開かせると、指の腹で何度も秘処を撫で上げる。
「やっ……、あぁ……っ!」
「やはり、まだこの間のように貼りつくほどには濡れていませんね。でも、ほら、聞こえますか?」
 蒼真の指が少し強く秘処を撫で上げると、くちゅっという水音が聞こえる。
 いつの間にか刹那の下着はしっとりと濡れていて、その向こうではぬるついた液体が蒼真の指の動きに合わせてぬちゅっ、くちゅっと淫猥な音をたてていた。
「あぁ、ちゃんと私の愛撫に感じてくださっているようで嬉しいです。──刹那殿、この下着の下がどうなっているのか、気になりませんか?」
 下着に指をかけられ、焦らすようにゆっくりとずり下ろされる。
「いっ、いやっ、やだぁっ! やめてぇっ!」
 刹那がどんなに懇願しても、その願いが聞き入れられることはなく、足首から引き抜かれた下着は、視界に入らないところに放られてしまう。
 そして、再び脚を大きく割り開かれると、その中心はこれまでの蒼真の強引な愛撫に感じてしまっていたことを物語るように、とろりと卑猥な蜜を溢れさせてしまっていた。
 膝を折りたたまれ、蒼真に秘処を曝け出しているこの格好は刹那には耐えがたく、激甚な羞恥に涙が零れる。
 しかし、蒼真はさらに追い打ちをかけるように秘処に顔を寄せる。
「わかりますか、刹那殿。あなたが私の愛撫に快楽を感じて、此処をしとどに濡らしているのが」
 ふっ、と秘処に息を吹きかけられ、びくりと腰が震える。
「感じてなんか……な、ゃあぁっ!」
 蒼真の指が蜜を絡め取るように、濡れた秘裂をぐちゅぐちゅと擦り上げる。
「可愛らしい噓をつくのですね。では、この指を濡らしている液体はどう説明するのですか?」
 蜜を纏い、厭らしく光る指を突きつけられ、刹那はさらに顔が熱くなって目眩すら感じるほどだった。
 そして、蒼真は刹那を見つめたまま、蜜を纏った指をその口の中に含む。
 指を纏っていた蜜を舐め取った蒼真は、恍惚とした表情で「美味しい」と呟いた。
 その予想外の行動を、刹那は信じられない思いで見つめていた。
 それと同時に、なぜか下肢の奥がずくりと疼く。
「ふふ、この味、やはりたまりませんね。私に、もっとあなたの蜜を、あなたの全てを堪能させてください」
 蒼真は刹那の脚の間に顔を埋めると、溢れ出す蜜を唇と舌を使って一心不乱にじゅるじゅると舐め啜っていく。
「ぃやぁああっ!」
 粘膜同士が直接擦れ合う感触に、刹那は悶えるように腰をうねらせる。
 頭の中が真っ白になりそうな感覚から逃れようとしても、蒼真が脚を押さえつけている力には勝つことはできない。
 刹那は自分でもよく見たことのない大切な部分を視姦され、口淫される羞恥に翻弄されながら、ただ嬌声をあげ続けることしかできなかった。
 丹念な愛撫で刹那の秘処は蜜が滴るほどに濡れていたが、さらに包皮を剝かれた花芯を舌でグリグリと嬲られ、終いには甘嚙みされる。
「っ……あぁあっ!」
 下腹部で蟠っていた熱が弾けたような強い感覚に、刹那はついに頭の中が真っ白になり、背中を反らせて陸に打ち上げられた魚のようにびくびくと震える。
 秘処からは止め処なく蜜が溢れ出し、褥をぐっしょりと濡らしてしまっていた。
「あなたの感じ入った声は本当に耳に心地好い……。ずっと啼かせていたくなってしまいますね」


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