書籍詳細

初夜下剋上 ぽっちゃり姫ですがイケメン副団長の夫と一夜で立場が逆転しました2
ISBNコード | 978-4-86669-774-1 |
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定価 | 1,430円(税込) |
発売日 | 2025/05/29 |
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内容紹介
立ち読み
「おはようシャル」
朝の目覚めは最高で気分も爽快だった。
だから肘をつきながら私を眺めていた最高にかっこつけて見えるフレデリックに「お前、いつから起きてたんだよ、キモッ」なんて心のつっこみもしなかった。
しかも大サービスで朝からほっぺにキスしちゃう!
ちゅっ。
「おはようございます、リック」
「えっ、あっ、ええっ」
動揺するフレデリックが超面白かった。たまにこうやって遊んでやろう。
昨日の夕食後にフレフレにもダイアフルーツをお裾分けしたら、もうフレフレは気が狂ったのかと思うくらい夢中で食べていて最高に可愛かった。うんうん。美味しかったよね。
「フレフレもおはよう。またフルーツもらってきてあげるね」
フレデリックの祖母も少し反省したのか、朝食はちゃんと私の席が設けられていた。
しかしフレデリックとの席を離されていたのが笑えてしまった。
すぐさまフレデリックが椅子を抱えてきたから意味なかったけれど。
それを見て祖母はまた不機嫌になり、
「あなた、いくら王女をもらったからといって、そんなにへりくだる必要はないのよ」
なんてブツブツ。
「お祖母様、俺は可愛いシャルに好かれたくて必死なんです」
フレデリックはそう言いながら私の世話を焼いた。いつもなら余計なことするなって思うけれど、あっちが意地悪してくるものだから放っておくことにした。
朝食後に祖父のところへ顔を出すと、こちらは大歓迎である。
「私のことはいいから二人で遊びに行ってきなさい」
なんて言いながらも、とても嬉しそう。
お祖父様のおかげでごちそうを食べられて体の負担も楽になって幸せです。と、私は感謝の気持ちを込めて積極的に話しかけた。
フレデリックの祖父は騎士を引退してからは領地のダイアフルーツの研究をしているという。
大変興味がある……。
それから祖父はフレフレを大変気に入って、私たちが出かけている間は預かると言ってくれた。
私とフレデリックにしか基本懐いていないので心配だったけれど、ダイアフルーツに目がないフレフレは、フルーツがもらえるなら誰であろうといいようで籠から手を伸ばしていた。
困ったヤツめ。
祖父の言葉に甘えてフレフレを預け、私とフレデリックは領地を回って、出来立てのパウンドケーキに舌鼓を打った。
もちろん、シモシモおすすめのローおじさんの手作りパウンドケーキだ。
「すっごく美味しい! 幸せ」
「うん……でも、それ以上は我慢しよう。さすがにパウンドケーキまるまる一本は食べすぎだから」
勢いの止まらない私からフレデリックがケーキを遠ざけた。
「十日間は日持ちするんですよね? では持ち帰りに三十本くらいお願いします」
「お、お客様……残り五本です」
「では、全部いただくわ」
オーホッホッホ!
美味しいし、楽しいし。こんな旅行なら何度でも行きたい! 最高!
フレデリックの食事制限もなんだか緩い。
心なしか私の顔もいつもより緩んでいるように思えた。
ハンナカンナ地方はドラゴンの里である。
もちろんこの街にドラゴンはいないが、遠くに見える山脈あたりに行けば住んでいるらしい。
ドラゴンにもたくさん種類があって、山にいるドラゴンは大型のものも多く、気性が荒い。理由がなければ近づかないのが暗黙の了解である。
「フレデリックは大型ドラゴンも見たことがあるんですよね」
「まあ、何度か討伐しているからね。でも基本、彼らは縄張りから出ないから」
「ふうん。リックがドラゴンに詳しいのはハンナカンナ地方に縁があったからなんですね」
「母方がこれだからね。でも父は根っからの王都育ちだよ」
「あ、リック、あっちのダイアフルーツは青いですよ?」
「青いのは甘くないからサラダに入れるんだ」
「ほうほう」
「シャルが気になるなら買って帰って、夕食に出してもらえばいいよ」
「本当ですか! 嬉しい」
ニコニコして私の言う通りにしてくれるフレデリック。
歩く財布にしているのだから手くらいは繋いであげる。
時々絡めながらにぎにぎされるのも今日はなんとも思わなかった。
なんだか、これってデートみたい……というかデートか。
王都と違ってキャーキャー言うファンがいない。
どちらかというと街行く人も年齢層が高くて『可愛い坊や』として見ている感じだ。
……やっぱりハンナカンナ地方最高。
私はじっとフレデリックを見た。
うん。いつものとんでもない美形だ。
そして騎士服とは違った普段着……ジャケットもよくお似合いです。
本当は今日、フレデリックが楽しみにしている『解禁日』なのだけど……。
どうするのかな。
でも、あんまり日にちを空けるといい思い出がない。
暴走したフレデリックの相手ほど大変なものはないのだ。
一応今夜は私から誘ってみるか。
ブランシェ様と祖父母が気になるっていうなら別にしなくてもいいし。
客室は離れているから声とかは大丈夫なはず。あとはフレデリックの問題だ。
うん。これは防衛本能。
決してなんだかフレデリックを感じたくなったとか、したくなったとかではない。
そうしてその夜は珍しく、私からフレデリックを誘ってみようと思った。
その日の夕食は私のお皿に生焼けのチキンがのっていたので、迷わず隣のフレデリックの皿と交換した。
それを見て血相変えて飛んできた祖母は元気だと思った。
そうして無事に嫌がらせもスルーして客室に戻った。
フレデリックより早く支度を済ませて寝室のベッドに潜る。
そういえば夜のお誘いなんてしたことないので、どうすればいいのかわからない。
うーん、こう、セクシーな格好で?
いや、テティが持ってこようとしたあれこれはこっそり置いてきたし。
じゃあ、パジャマでセクシーポーズ?
私が? んな、バカな。
今まで見た最高にセクシーなポーズってなんだっけ?
髪の毛を上げたら悩ましいって聞いたことがあるな。うなじが可愛いって言っていたし、試してみようかな。テティを呼んで髪を結ってもらえば……。ちらりとフレデリックがいるバスルームの方を見る。いつもすぐ出てきちゃうから……まずい、時間がない。
以前、フレデリックがしてくれたみたいに簡単に後ろ髪をまとめて上にあげてみようかな。
そう思って自分で髪をねじってからバレッタで留めようとした。
カツン……。
「あっ」
手元を誤って、バレッタがベッドの下に落ちてしまった。
むう。取れるかな……。
ぐっと必死になって手を伸ばすと、ようやく指先がバレッタに届いた。
よし、取れる。そう思ったところで後ろから腰を引っ張られた。
「危ないっ」
「ふえっ?」
そんなことをするのはフレデリックしかいないのだけれど、いきなりのことで驚いてしまった。
私は指先でバレッタを掴みながら間抜けな格好でベッドの中央へと戻された。
「なにしてるの?」
「髪留めが……落ちてしまって」
説明するとフレデリックは覆いかぶさってきた。そのまま私の伸ばした手に自分の手を重ねると、ゆっくりとバレッタを私の指先から奪っていく。
「これは置いておこうね」
そうしてベッドサイドに髪留めを置いた。
どうやら髪を拭きながら出たところで、ベッドから落ちかける私を見て慌てて来たようだ。
髪から落ちた水滴が彼のパジャマに染みている。
ええと。
う。
ちょ、超絶セクシー……。
いつも憎たらしいフィルターがかかっているのにどうしたことか。
かっこいいなんていつものことだし、色気を振りまきながら生きているのも当たり前なのに。
真っ赤になった私は顔を上げることができなかった。
不覚にもフレデリックを心底かっこいいだなんて思ってしまったのだ。
そう思ってしまうと、自分がどうやってフレデリックに接していたか思い出せなくなる。
私、今まで平気でこんなのを相手してたの?
あり得ない。
色気にむせそう……。
心臓はバクバクするし。
「シャル?」
やめて、声までいいんだからっ!
両手で耳をふさいで私は体を丸めた。
「どうしたの? どこか痛いの?」
心配するフレデリックがますます近寄ってくる。
自分でも耳まで赤いのがわかる。
こんなの、こんな顔見せられるわけがない!
フレデリックの顔がいよいよ近づいてきて、私はそれをどうにか遠ざけようと声を絞り出した。
「……から」
「ん?」
「リ、リックが……」
「俺が?」
「かっこよすぎるから……」
あああああああーっ!
回らない頭で絞り出した情けない言葉はこれだった。
他になんとでも言いようがあったろうに!
死にたい。
言われ慣れているフレデリックには挨拶代わりの言葉だろうけど、私にとっては彼を意識していることを認めてしまうような呪いの言葉だ!
耳にやっていた手を顔に移して覆う。しばらく自分を恥じていたが、隣にいたフレデリックの反応がないことに気が付いた。
あれ? 聞こえなかったのかな?
セーフ?
そう思ってそろそろと指の隙間から隣を窺った。
するとフレデリックは固まっているようで動かない。
まるで私と入れ替わったかのように、彼も両手で顔を覆っていた。
何か嘆くようなこと言ったか?
聞き違いしたのかな。
そんなフレデリックの姿を見て冷静になってきた私は、もう少し確認しようと下から仰ぎ見た。
バチリ……。
と、両手をずらしたフレデリックと視線がぶつかる。
「シャル……その」
「う、うん」
「お、俺のことかっこいいって思ったの?」
「へあっ、ああ……う、うん」
確認されるとまた恥ずかしさが戻ってきて真っ赤になってしまう。
顔を背けて逃げ腰になった私の肩をフレデリックが掴んだ。
「あのね、シャル。大好きだ」
「う……うん……」
「シャルは俺のことどう思う?」
「え、ええと」
「嫌い?」
「き、嫌いじゃない」
旅行だって楽しいし、フレデリックはなんだかんだ言っていつも助けてくれる。
「……じゃあ、好き?」
「……う。わ、わか……」
わからないって答えようかと思ってフレデリックを見て……やめた。
「……好き」
だと思う。以前よりは。それは認めよう。
私はフレデリックに顔を向けて目を閉じた。
当然のように与えられる温もり。
重ねられた唇は、いつもよりもずっと甘く感じられた。
舌を出して、互いの体温を確認するように合わせる。
ぬるぬると滑る感覚が私の頭をバカにさせた。
胸を下から持ち上げられるように掴まれながら、脳天が溶けるようなキスをする。
気持ちいいから好きなのか。
それとも好きだから気持ちいいのか。
「シャル……いいよね」
今さら聞くなんてどうかしてる。いつだって強引に事を進めてくるのに。
……でも、私もバカみたいにコクコクと首を縦に振った。
信じていいのかな。
みんなの憧れでもあるこの男が私のことを愛してくれているって。
フレデリックがお腹の出た中年のおっさんだったら、すぐに信じただろうか。
いや、そんなおっさんが後で裏切ったら××を×××してやったとしても許せない。
隠し子騒ぎでは私のピンチに急いで来てくれたフレデリック……。
誕生日に「生まれてきてくれてありがとう」って言葉をくれて、私と本当の意味での家族になろうとしている。
初めて会った時は……最悪だったけど。
完全体目当てなところもあるけれど。
夫婦になってよかったかも……とは思っている。
「ん……」
フレデリックの指が私の敏感な場所を探る。キスだけで溢れ出た愛液は、くすぐってくる指を濡らしていた。クチャクチャと音を鳴らしてフレデリックが熱くなった私の中をかき混ぜる。
「今日は……期待した?」
誘おうと思っていたとも言えずにこくりと頷けば、それが答えだというようにクイと私の弱い部分を責められる。
「あっ、ああっ……」
長い指がスイッチを入れるように、私が感じる場所を刺激する。
フレデリックの唇が首筋を滑り、鎖骨をくすぐる。
小刻みに震える体はその刺激に素直に反応を示す。
片手で胸を持ち上げるようにして感触を楽しんだフレデリックがその先端を口に含む。
「はうううっ」
舌で転がされ、軽く歯で挟まれると、その刺激にただ息を切らしてしまう。
下腹がキュンキュンと収縮してフレデリックを求める。
早く欲しいと、じんじんと熱を持つ奥から愛液が垂れるのが自分でもわかった。
「リック……ハア……」
「シャルも俺のに触れて」
フレデリックは膣に入れていた指を出すと、私の手を誘導して熱いそれを握らせた。
首筋に舌を這わせながら戻ってきた指が膣を広げるように擦り上げる。
互いの手で陰部を刺激して、力がうまく入らないまま私も懸命に手を上下した。
熱くて……。
硬い……。
グロいそれも、私で興奮していると思えば愛おしくて。
気持ちよくなりたい……気持ちよくしたい。
もっと……愛されたい。
「も、挿入れて」
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