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オメガバースの不完全性定理

義月粧子 / 著
星名あんじ / イラスト
ISBNコード 978-4-86669-137-4
サイズ 文庫本
定価 754円(税込)
発売日 2018/08/17

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内容紹介

発情期をなくしたΩの覚醒セックスラブ
Ω(オメガ)の樹希は大手広告代理店の契約社員。優秀でも正社員になれず、上司に実績を横取りされる日々。撮影の見学に現れた御曹司α(アルファ)の貴嶋とすれ違い、痺れる程の衝撃に樹希は倒れてしまう。とある事情で発情しない体質の樹希だったが、研究の協力のため貴嶋の豪邸で同居することに!? そこは発情期に複数がまぐわうヤリ部屋になって……。貴嶋に触れられ、快楽によがる樹希の覚醒の日は近づいてきて!? オメガバース・セレブリティラブストーリー?
★初回限定★
特別SSペーパー封入!!

人物紹介

篠原樹希(しのはらいつき)

Ω(オメガ)

29歳。発情期をなくした有能クリエイター。

貴嶋龍惺(きじまりゅうせい)

α(アルファ)

27歳。階級上位アルファ。キジマグループ若き幹部。

立ち読み

「この部屋にきたら、こうなることはわかってたんじゃないですか?」
 貴嶋龍惺は、端正な貌に捉えどころのない笑みを浮かべると、篠原樹希を組み敷いた。
 樹希は、アルファのくせにオメガの自分にわざとらしく敬語を使う貴嶋が気に入らない。
「それは、あんたが話があるって云うから…」
 この期に及んで、樹希は貴嶋のキスを必死で拒んだ。
 そうでもしないと、樹希は簡単に貴嶋に支配されてしまう。階級上位のアルファである貴嶋の圧倒的なオーラの前に、樹希には成すすべがないのだ。
「往生際が悪いと云われません?」
 そんなことは百も承知だ。どうせ抗っても最後はいいようにやられてしまう。それがわかっていても、素直に抱かれるなんてできない。
「…嫌そうにしてるわりには、すぐにその気になるよね」
 貴嶋はにやにや笑いながら樹希の顎に指をかける。揶揄を含んだ目で樹希を見ると、彼の唇をすっと舐めた。
 びくっと樹希の身体が震える。
「…ほんと、敏感すぎ」
 貴嶋は僅かに溜め息をついて、彼の薄い唇に口づけた。
 貪るように唇を味わう。
 彼のキスは巧すぎて、樹希は抵抗することもできない。
 執拗に彼の舌が自分の舌にからみついてきて、樹希はもう正常な思考ができない。
 やば…い…。あ、き…気持ち、い……。
 無意識に自分もそれに応えてしまっている。
「あ、ちょっ…と……」
 彼の手が自分の股間に触れて、樹希はさすがに我に返った。
「…勃ってるね」
 阻止しようと伸ばした手を逆に握られてしまう。
「ほら、自分で触ってみて?」
「や、やめ……」
 無理矢理、樹希の勃起しかけたものに誘導する。
 自分で自分のものを掴まされて、樹希のものは敏感に反応してしまう。
「勃起しちゃいました?」
 樹希はぶんぶんと首を振った。
「あれ、自分で触ってもわかんないですか?」
 意地悪く囁くと、いきなりベルトを外し始める。
「な、何やって…」
「ほんとに勃起してないか確かめないと」
 バ、バカじゃないの?
「や、やめ…」
 しかし阻止するより先に、貴嶋は手際よくベルトを外してファスナーを下げた。
 勢いよく飛び出た彼のペニスは、苦しそうに反り返っていた。
「樹希さん、可愛いね」
 俺のものを見て、目を細める。
「触っていい?」
 そしていつもなら返事を待つまでもなく好き勝手するくせに、今日に限ってなぜか返事待ちをしている。
「ダメ?」
 樹希は黙って唇を噛んだ。
「触って欲しいなら、そう云って?」
 ふ、ふざけんな……。樹希の目がそう云って貴嶋を睨みつけた。
「ひくひくしてるよ? 触ってほしいんじゃないの?」
 樹希はぎゅうっと目を閉じた。
「可愛いね、そんなに我慢して…」
「……」
「ね、お願いしてみて? おち○○ん、舐めてくださいって」
「だ、誰が…!」
「それか、自分で弄ってみる? それもいいね。樹希さんのオナニー見せてよ」
「……」
「…我慢してる顔も色っぽいね」
 貴嶋はそう云うと、シャツの上から彼の乳首を攻め始めた。
「や……」
 むずむずした快感で、身体に火がついてしまう。
「それ…や……」
「ん?」
「さ、触って……」
 とうとう云ってしまった。が、貴嶋はにやにや笑って返した。
「触ってるよ?」
「ちょ…!」
 樹希は思わず抗議の声を上げかけたが、ゆっくりと深呼吸をしてぼそぼそと返す。
「…そこじゃなくて……」
「こっち?」
「やっ、…あ…んっ…!」
 反対側の乳首をぐりぐりされて、樹希は濡れた声を上げてしまった。
 もう、無理……。理性のタガが外れてしまう。
「い、いじめんなぁ…」
 泣きそうになって、貴嶋を責める。
「わかってる…くせに…」
 自分でも何云ってるのか、もうわかってない。
「…樹希さん……」
「貴嶋のバカ…ぁ…」
 樹希のぐだぐだのエロ顔に、貴嶋は一瞬眉を寄せる。
「…あんた……」
 溜め息をつく。
「なんちゅう顔すんのよ…」
 僅かに苛ついた表情を浮かべると、かちゃかちゃと性急に自分のベルトを外す。
「あんたが煽ったんだからな」
 煽られたペニスを取り出して、樹希のペニスに押し付ける。
 ずしりとした重みに、樹希は怖気づく。
「な、なに……」
 貴嶋は、樹希のペニスを掴んで自分のものと擦り合わせた。
「あ……」
 初めての感触に、樹希はぞくぞくしてくる。
 な、なにこれ……。
「あ……ぁ…ん!」
 自分がどんな顔をしてるのか、想像もつかない。なんかもうたまらなくて、必死でその快感を追った。
 ふと目に入った貴嶋の目が快感に歪んでいて、またぞくぞくしてくる。
 そのとき、彼と目が合った。
 貴嶋はふっと笑うと、自分の唇をべろっと舐める。
 その瞬間、彼に支配されたようなそんな錯覚に陥って、それは樹希を戸惑わせた。


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