書籍詳細
獄中 —寵辱の褥—
ISBNコード | 978-4-908757-65-5 |
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サイズ | 文庫本 |
定価 | 754円(税込) |
発売日 | 2017/02/17 |
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内容紹介
人物紹介
蜂谷 馨
代議士殺害の罪で収監された、若手弁護士。
その繊細な美貌の中に、強い芯を持っている。
二階堂
蜂谷が憧れていた恩人に瓜二つの極道。
雑居房の囚人からの人望があるが、どこか本心が読めない。
立ち読み
「っはぁっ」
俺は、タオルが外されると、大きく息を漏らした。
「——んっぐっ!?」
が、その瞬間。俺は開いた口の中に、突然二階堂の指を入れられ、くぐもった声を漏らした。
(何?)
彼の人差し指と中指が口内を犯すように蠢き、俺は驚愕から身体を強張らせる。
「少しでも酷な目に遭いたくなければ、俺には逆らうな。すべて、言うとおりにしろ。そうすれば、悪いようにはしない」
思いもよらない台詞の中に殺気さえ含め、二階堂は俺に冷たく言い放つ。
(嘘だろう?)
俺の口から指を引き抜くと、下肢にかかっていた布団を払って、股間に俺の顔を押し付ける。
「さあ、わかったら、俺のチンポを出して、しゃぶれ。しっかりしゃぶって勃起せてもらわねぇと、先に進めねぇからよ」
「やっ」
俺は、あまりのショックからか混乱し始めた。
「逆らうなって言っただろう」
(っ!!)
二階堂は利き手で俺の首を掴む傍ら、空いた左手で自らのペニスを引き出し、その先端を俺の唇に押し付けた。
「ほら、手間かけさせんな。咥えろ」
無理やり俺の口の中へと入れて、その後は両手で俺の後頭部を押さえ込んだ。
「んんっ、ぐっ」
俺は、顔を上げることも、逸らすこともできず、男の欲望を口に含まされる。
「そうそう。色っぽい目で俺を誘ったんだ。期待してたんだろう?」
舌に粒々とした玉のようなものが当たる男のペニスは、次第に硬く、大きくなると、俺の咽喉を容赦なく突いてきた。
「おら、もっと上手く舌を使えって。歯を立てるな、噛んだらぶっ殺すからな」
それに合わせて頭を揺すられ、俺は口内を噛み乱す男の欲望に嗚咽を漏らして、吐きそうになる。
(っ、嘘っ。こんなの嘘だっ)
感情が、男の行為に追いつかない。
「ったく、どうでもいいが、へったくそなフェラだな。代議士の愛人って張ったりか? まるっきり処女同然じゃねぇかよ、この口も舌も」
「んぐっ!」
嫌も何も、信じられないという思いばかりが胸中に渦巻き、俺はますます目頭が熱くなった。
猛り狂った熱棒を含まされた口角から唾液を零すより先に、涙腺が切れて涙が溢れた。
「しょうがねぇな。少し、使い方を教えてやる」
しかし、そんな俺の顔を強引に上げると、二階堂は再び俺を抱いた。
飢えた獣のような目で俺を射ると、そのまま顔を近づけ、口付けた。
「——っ!?」
たった今犯されたばかりの口内に、今度は男の舌先を我が物顔で挿入される。
「んんっ、んん!!」
俺はピタリと合わされた唇に、息をも絡め取る濃厚なキスに困惑が増すと、男の腕の中でひたすら暴れた。
「んんっ、んぐっ」
苦しさと切なさと覚えのない興奮が入り混じり、いつしか男のパジャマを掻き毟る。
夢中で爪を立てた男の肌には、パジャマ越しとはいえ、俺の苦痛と同じほど深い傷が、できたに違いない。
「んんっ!」
だが、それでも俺が逆らえば逆らうほど、二階堂は激しく口内を犯してきた。
「うわっ……っ」
「マジかよ」
背後では、見るだけに徹した男たちが、度肝を抜かれたような声を漏らす。
「んんっ——はぁっ」
やっと唇が離され、俺は苦しさから、大きく息を吸い込んだ。
ペニスを咥えさせられたショックもさることながら、まともに口付けられた驚きは、俺から悲鳴を上げようという気力さえ奪った。
「そうそう。そうやって可愛くしてりゃあ、痛い目には遭わなくて済む」
「やっ」
必死に抵抗しているつもりではあっても、二階堂からすれば、イヤイヤ程度。
俺はその場で組み伏せられると、逆らう両手を掴まれ、頭の上で押さえられた。
唇が唇で塞がれ、暴れる脚の片側さえ、男の器用な脚捌きに封じ込まれて、俺が自由に動かせるのは残された左脚だけだ。
「ここまでサービスしてやってんだ。気分よく、やられちまいな」
しかし、それは奴が、俺の陰部を探るため。
ペニスだけではなく、陰嚢や後孔までをも自由に甚振るためにそうしただけであって、俺が自由に動かせる部位など、ないも同然だった。
ペニスを掴まれ、ゆるゆるとした愛撫が開始されると、俺の身体は自然とうねりくねって、淫楽に流され始める。
「んっ……っ」
せめて、奥歯を噛むなりできれば、意識を逸らすこともできるだろうに。舌を巻き取られ、歯列を慰撫されては、そんなことさえままならない。
むしろ、上手くできない呼吸を補うことにばかりに奔走し、俺の舌先や唇はいつの間にか男のそれに合わせて、呼吸のタイミングを計るようになった。
「は……っ、ぁ」
流れ込む唾液さえ飲み込み、呻くように上げていた声が喘ぎに変わった。
「どれ、ここも……」
すると、まずは逆らう部位の一つが堕ちたとふんだんだろう。二階堂は、俺の唇から唇を放すと、そのまま顎から首へと舌を這わせた。
鎖骨を甞め上げ、胸元に佇む突起物を含むとチュッと吸い上げてから軽く噛んだ。
「ゃっ——んぐ」
痺れるような快感に怖気て、思わず悲鳴が上がった。
だが、それさえ見越していたのか、二階堂は俺の両手を放すると、声が上がる前にその手で口を押さえた。
(いやだっ。そんなとこ……、噛むなっ)
解放された俺の両手が奴の腕や肩を叩こうが、パジャマの上から掻き毟ろうが、気にしない。
二階堂は、口に含んだ乳首を淡々と責め上げ、俺が愉悦に逆らえなくなるのを待った。
(こんなことをするなら、さっさと犯せ。無理やり入れて終わらせろ!)
どうせ犯るなら、肉体だけではなく精神にさえも絶対的な服従を——そんなことでも考えているのだろうか?
だから、こんなにも、肉体や理性を蕩かすような愛撫で、俺の胸元やただの欲望の塊と化したペニスに、刺激を送り続けてくる?
「はぁ……っ。そろそろか? 我慢できなくなってきただろう?」
(もう……っ、いやっ……っ。嫌だっ)
二階堂は、俺の両手がいつしか奴の肩にしがみつき、縋るように爪を立てるようになると、乳首と亀頭の先の窪みをほぼ同時に責めて、俺が守り続けていた結界を解いた。
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