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若き覇王は亡国の王女にかしずく

泉野ジュール / 著
八美☆わん / イラスト
本体価格 本体1,200円+税
発売日 2020/04/24

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内容紹介

征服王が見初めた美しき乙女
長く囚われの身だった王女リアを救い出したのは、侵略王と恐れられる大国カリアーノの国王オルガートだった。心に傷を負ったリアを慈しみ、優しくいたわる彼に、次第に惹かれていく思いが止まらない。愛されることでみるみる美しく輝いていくリア。惹かれ合う二人の思いはある日、ついに決壊し……「君を抱く夢を何度も見た。わたしは……君を愛し尽くす。誰にも渡さない」若き覇王の手で花開いたリアは、甘美な快楽を教えられ何度も彼の楔に貫かれて絶頂を味わう。「いつか、この床の上でも君を抱く。この安楽椅子の上でも。様々な場所で、あらゆる体位から」征服王に見初められて愛される、ドラマチックラブ!

立ち読み

「真実を知ったら、君はわたしを軽蔑するだろう」
 かすれた声でオルガートがつぶやく。
 リアはトロンとした瞳で彼を見つめた。オルガートは視線だけでリアを灰にしてしまいそうなほど熱い眼差しを、彼女に注いでいた。
「君の足枷を外した時に見えた白い足に……わたしは欲情した。君が欲しいと思った」
「そんな、ことは……んっ!」
 触れられた足に神経が集中していたのに、突然不意にオルガートの親指が口の中に入ってきて、リアはあえいだ。
 つ、と唾液が垂れる。
「君を乱したらどんなふうになるだろうと夢想した。恥じらうのか、あらがうのか、情熱的にわたしを求めてくれるのか……」
「ん……は、ぁ……」
「その答えを、わたしに与えてくれ」
 悪魔的な笑みがオルガートの唇に浮かぶ。
 オルガートの手が、柔らかな太腿の内側を探索している。彼の言う『答え』を求めて。
 多分、オルガートはすでにリアの気持ちを知っている。あらがえるはずもない、と。
 恥じらいなど吹き飛んでしまうくらいに、リアの体は火照っていた。
「はい……」
 リアのささやきを聞いたオルガートは、冷静の仮面を脱ぎ捨てた。
 彼は獲物を喰む野獣のようにリアの首に噛みついた。歯の硬質さが肌に触れたと思うと、チュウッと強く吸われる。なにが起きたのかわからず息を呑むリアの鎖骨の上の辺りに、小さくて赤い欲望の花が咲いた。
「わたしの夢想の中で、君は天使のように清らかで、女神のように美しく、時には淫魔のように妖艶だった」
「そんな……」
「そんな君を抱く夢を何度も見た。夢だけじゃない。昼も夜も、わたしのものは君を想って猛り狂っていた」
 オルガートの……もの?
 リアの疑問に答えるように、オルガートはぐっと腰を引き寄せた。股の間に熱くて硬いものを感じて、リアはおののく。
「これははじまりにすぎない」
 紐を交差させて留めてあるドレスの前身頃を、オルガートは暴いていった。彼の指は男らしくて骨っぽく、太い。しかし鍵穴同様、複雑な結び目をいとも簡単にスルスルと解いていく。
 ハラリと胸元がはだけて、薄いシュミーズ一枚の下の乳房が外気にさらされた。
 まったく無防備な状態の胸部に、獲物を狩る鷹のような勢いでオルガートが食いつく。胸の頂をきつく吸われ、リアの頭が真っ白になった。感じたことも……想像したことさえないような強烈な感覚だった。
「ふ……ひぁ……あ、くぁ……んっ」
 しどけない声が喉の奥からあふれてきて、止められなかった。
 翻弄されるリアにオルガートは容赦のない刺激を続けた。胸の先端はピンと硬くなり、攻め立てられれば攻め立てられるほど敏感になっていき、リアはピクピクと震えた。
 最初は戸惑い抵抗しようとしていたのに、気がつくとわずかに腰が浮き、続きを求めるように呼吸が熱を帯びる。体が溶けていくようだった。
「ひ……う……っ」
 オルガートの手がもう片方の乳房を包み、揉みしだきはじめた。
 口で攻められるのとは違う、もっと柔らかくて甘い蹂躙(じゅうりん)に、リアは首をのけぞらせる。
「素晴らしい反応だ。夢で見たよりもずっと……綺麗だ」
 ささやきながら、舌でペロリと硬くなった蕾を転がす。
 あまりにも強烈な痺れが襲ってきて、リアはギュッと目を閉じて堪えた。
「リア、逃げなくていいんだ。逃げないでくれ」
 オルガートはくぐもった声で諭した。
「すべて受け入れてしまうんだ。もっと快いものにしてあげよう。力を抜いて……恐れないで」
 もし相手がオルガートでなかったら、絶対にこんなことは受け入れられなかった。誰にも触らせてはいけないと教えられてきた場所を、舌や指で弄られる。リアの体はそれに過敏に反応し、この痺れの先になにがあるのか知りたがっている。
「わ、わたし……へんなの……。気が、狂ってしまいそう……で」
 シュミーズの薄い布はカリアーノ王の唾液で濡れ、ピタリと肌に張りついていた。
「やめて欲しいかい?」
 少しからかうようなオルガートの口調。
「や……、それは……っ」
「なにをどう感じているのか……どこをどうして欲しいのか……全部口にしてごらん。すべて。すべてだ。すべて君の欲しいがままにしてあげよう」
 リアの胸の奥にポッと欲望の炎が灯る。そして自分の手に渡された自由の重みを感じた。
「これは……普通なのですか? こんなふうに感じるのは……」
「すべての愛の行為がこうだというわけではないがね。ああ……言葉では表せないような熱い……欲望を感じるだろう? それをさらに欲しいと焦がれるかい? だとしたらわたしは悪くない仕事をしている……」
「きゃうっ」
 クリッと優しく胸の先端を指で摘まれて、リアはまた喜びに震えた。
 ──そうなのよね? これは喜びなのよね……?
 純粋な喜びと呼ぶには残酷すぎて、でも痛みと呼ぶには甘すぎる。本能に訴えるなにか。リアという存在そのものを溺れさせる濁流のようなもの……。
「君の体のどの部分がもっともよく感じるか、試してあげよう。乳首がとても敏感なのはよくわかった」
「え」
 リアは息を呑んだ。
「こ……ここ以外にも、こんなふうに感じる場所が……あるのですか?」
 オルガートの青の瞳が貪欲に輝く。獲物に狙いを定めた猛禽獣の目だった。彼は喉の奥からうなりに似た声を漏らし、「くそったれが」とつぶやいた。
「オルガート様……」
「君は可愛らしすぎる。わたしは今、腹を空かせた猛獣のように君を食い散らかしてしまわないために、多大な忍耐を強いられている。だからあまり、わたしを試さない方がいい」
 シュミーズの肩紐を外しながら、まるでそれが苦行だと言わんばかりに、オルガートは怖い顔をしていた。彼の器用な指の前に、肩紐はあっけなくその役目を放棄する。
 ハラリと前がはだけて、柔らかく実ったリアの胸が晒された。
 乳首は赤く染まり、頂は真珠のように硬くしこっている。
「綺麗だ……。他にどう言っていいのかわからなくなるくらい、綺麗だ」
 恍惚とした青の瞳に見つめられ、リアは喜びと恥ずかしさの両方に攫(さら)われる。
 羞恥は炎のようにリアの平常心を焼いた。でもオルガートになら、その炎を手渡してもいいと……そう思えた。
 リアはそっとオルガートの頰に片手を添えた。
「わたしを抱いて……くれますか? まだわたしを……欲してくださっていますか?」
 オルガートは全身の筋肉を緊張させ、きつく歯を食いしばった。
「その答えは」オルガートの声は聞き取りづらいくらいかすれていた。「言葉ではなく、この身を以(もっ)て君に与えよう。この夜が明ける頃には、君はその答えを一片の疑いもなく知っているはずだ。覚悟してくれ」

 そうしてはじまったふたりの情事は、オルガートの宣言通り、彼がどれだけリアを欲しがっていたかを証明するものだった。
 オルガートはリアを寝台に押し倒すと、彼女の衣服を儀式めいた丁寧さで脱がせ、体のいたるところを褒め称えた。

 細くて綺麗な腕だ、折ってしまいそうで怖いよ。
 可愛いおへそだ。舐めたくなってしまう。
 君の腰は完璧だ……ここに触れることのできるわたしは世界一幸福な男だ。

 しかし、リアの背中に走る鞭の傷痕を見た瞬間だけ、オルガートは顔をひきつらせた。彼の反応に気づいたリアはびくりと震えた。
「あ……あの……わたし……」
「なんてことだ……。あの男は君になんてことをしたんだ」
「背中を見ないでください。お願い……」
 アルセンの憎しみが弾けるのはいつもリアの背中に向けてだった。多分兄には、リアと正面から向き合う強さがなかったのだ。だからリアの背中には兄から受けた醜い傷痕がいくつも残っている。
 リアは身をよじってオルガートに背中が見えないようにしようとしたのに、彼は逆にリアをシーツの上にうつ伏せにさせた。
 そして傷痕に無数の口づけをした。
「や……さ、触らないで……」
「触れると痛むのかい?」
「違います……。でも、醜いから……お願い、見ないで」
 弱々しくささやくリアの両腕を、オルガートは背後からがっしりと掴む。
「君は美しい。いくつかの傷痕があるからといって、君の美しさが損なわれることはない」
「はん……っ!」
 官能的な動きで背中を舐め上げられて、リアの背筋がピンと反り返る。
「たとえここが焼けただれていても、魚のように鱗があっても、象の肌のようにひび割れていても、わたしは一向に構わない。わたしが愛したのは君の肉体だけじゃないんだよ、リア。わたしが惚れたのは君のその気高さだ。君の心の美しさだ。この傷痕は君が辛い日々を生き抜いてきた証だ。愛しく思いこそすれ、醜いなどとは思わない」
 そしてオルガートは、背後からリアの股間に熱く猛った男の竿を押し当ててきた。ひとの体の一部とは思えないくらいに熱く、硬かった。
「これがその証拠だ……。わたしは君の傷を見て、この舌で味わってもなお……こうして君を欲している」
 その言葉を裏づけるように、オルガートの呼吸はどんどん浅く、性急なものになっていく。
 なまめかしい動きで腰を寄せられる。
 オルガートのものがドクドクと脈打ちながらリアの尻に擦りつけられて、これからふたりがわかち合う行為の片鱗を感じた。
 この熱いものが……。
 リアの中に……。
 ──どうやって?
「君が裸になったのに」オルガートは抑えた声でささやいた。「わたしが服を着たままなのは不公平だな。違うかい、姫? わたしに服を脱いで欲しい?」
 リアは目を見開いて肩越しにオルガートを振り返った。
「わ、わたしにそれを……聞くんですか?」
「当然だ。他の誰に聞けと言うんだい? アスタロトか?」
「そうじゃなくて……!」
 オルガートはくるりとリアを回して仰向けに直し、両手を彼女の肩の上について覆い被さるような体勢になった。
「わたしは君の意見が聞きたい。そして君の望むことをしてあげたい。君にはもっと自由になって欲しいんだ。もっと」
 リアは思わず両手で胸を隠しながら、じっとオルガートを見上げる。
 この稀有な男性は、あくまでもリアの意思を尊重してくれている。同時に彼はリアに、怯えてばかりいないで自分の足で立ってごらんと、挑発しているのだ。
 土の下に隠れていたリアという名の花の種を、咲かせようとしている。
「は……ぃ」震える声でリアは答えた。
「聞こえないな」オルガートは微笑みながら嘘をつく。
 またしても、リアの中で眠っていた負けん気の強さが目覚めはじめた。
 キッと強くオルガートを見つめると、それは多分反抗的と取られる仕草だったにもかかわらず、彼は嬉しそうに笑みを深めた。
 もう──このひとはまだ本当のわたしを知らないんだわ。
「嘘を言わないでください……。聞こえたくせに」
「ちょっと機嫌を損ねた君もまた可愛いな。歯を剥き出しにした仔猫みたいだ。いたずらしたくなる」
「猫は俊敏で、いざとなれば獰猛になれる動物です」
「そうだね。気をつけよう。さて、わたしの仔猫は、わたしに服を脱いで欲しいのか、欲しくないのか?」
 リアは自分の中にある勇気をかき集めて、答えた。
「脱いで……ください。わたしと同じに、なって」
 吃らずに喋れたのが不思議だった。でも、ふたりの間にはリアの恐怖を溶かしてくれるなにかがある。
 オルガートはもうリアを茶化したりはせずに、真摯な顔でゆっくりとうなずく。
 比較的軽装とはいえ、一国の王である彼の衣服は手の込んだものだった。金糸を含む高級な糸がふんだんに織り込まれたチュニック、腰を飾る帯風の布に革のベルト、そして白いシャツは前を細い紐で結ばれている。
 彼はそれらを着々と外していった。
 次第に姿を現すオルガートの裸体に、リアはどうしようもなく見惚れた。上半身だけは湖畔で見ている。でも、ズボンの下にあったものは……。
 息を呑むリアに、オルガートは謝罪と誇りの交じった複雑な微笑を浮かべた。
「ご覧の通り……わたしのものは小さいとは言えない。最初は痛むだろう」
 質量を感じさせるブルンとした動きで肌着から飛び出したオルガートの男性自身は、太く硬く、上を向いてそそり立っていた。
 わずかなヌメりが先端を濡らし、蝋燭の明かりを受けて輝いている。
 太い血管に脈打つ血潮が、その丈に浮き上がっていた。
「どうやって男女が愛の営みを行うか、君は知っているかい?」
 オルガートの優しげな問いに、リアはなんとかうなずいた。
「君にそういった教育をしてくれる乳母はいなかったと思うが」
「ど……動物がするのを、見たことがあります」
「ああ」
 オルガートはうなるように喉を鳴らした。
「野獣のように後ろから君を奪うのもいいね。でも、最初は……君の裸体がくまなく見える、正面からがいい」
 この男性は、ふたりの秘事について隠し立てをしなかった。誠実にリアの意思を尊重し、順序を踏んですべてをありのままに話してくれる。
 その率直さは厳しさと同意でもあるが、信頼できるひとだ。
 完全に裸になったオルガートは男神かと見まごうような雄々しさだった。これからリアはこの男に処女を捧げる。そう考えるだけで体中が熱くなった。
「それで構わないかい?」
「それは……自然なことなのですか? あなたはそれを……楽しんでくださるのですか?」
「ああ。多くの恋人達がそうして交わる。わたしはそれを魂の底から楽しみ、歓喜し、絶頂を迎えるだろう。願わくは君もそうであって欲しい」
 リアはうなずいた。もう必要なのは言葉ではなかった。
 リアがなにを求めているか感じ取ったオルガートは、再び彼女に覆い被さった。
「腕を横にどかして」
 まだ胸を隠していたリアに、オルガートが命じた。まだ恥ずかしさはあったが、リアはゆっくりと彼の言葉に従った。
「君はこれから咲き誇る花だ」


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