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9784866691022

Only with Your Heart 烈炎の騎士と最果ての恋人2

泉野ジュール / 著
園見亜季 / イラスト
ISBNコード 978-4-86669-089-6
本体価格 本体1,200円+税
発売日 2018/04/27
フェアリーキスピンク

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内容紹介

この愛のすべてを賭けて、お前を守り抜く。
再会した恋人ルクロフと、誤解とすれ違いを乗り越えて深く愛し合う千鶴。「何度でも誓ってくれ。お前は永遠に俺のそばにいると」結婚式を控えて優しく愛を囁くルクロフに千鶴の胸は一杯になる。しかし幸せの絶頂にいる二人の影で、英雄となったルクロフを恐れ、彼を悲運に導いた元凶である国王の魔の手が忍び寄ろうとしていた。また、ルクロフを狙って千鶴を貶めようとする罠も……。過去を乗り越え、未来を掴むため最後の黒幕と対決する!
小説サイト《ムーンライトノベルズ》累計1000万PV超! 絶大な人気を誇る、心震える感動のラブファンタジー、大幅加筆修正を加えて、堂々の完結編登場!

立ち読み

 「わたしを信じて。わたしを……見て。感じて」
 千鶴はゆっくりと寝台から立ち上がった。
 ふたりの愛の行為は大抵においてルクロフが主導権を握っていたから、こうして千鶴から誘いをかけることは滅多にない。もしかしたら、これがはじめてかもしれない。
 緊張に心臓がどくどくと高鳴り、指先が震えて、思わず怖気づきそうになる。
 でもルクロフの瞳に宿った欲望の炎に気がつくと、千鶴はいくらか勇気づけられて石畳の床を裸足で進んだ。
 手を伸ばせば届きそうな距離までルクロフに近づいていくと、彼がまるで息を止めているようなのに気づいた。彼の瞳はじっと千鶴の一挙一動を見つめ、その細胞のひとつひとつに至るまでを、どうやってのみ込んでやろうか吟味しているようでさえあった。
「これは夢なんかじゃないって、し……証明してあげる……」
 思わず声が震えてしまうと、ルクロフは興味深そうにさらに片眉をつり上げた。
「どんなふうに?」
 ぶっきらぼうながらも熱のこもった質問が返ってくる。
「わ、わたしに……触れて……?」
 なんとか大胆に答えた。しかしルクロフは言われた通りにはせず、胸の前で腕を組んだまま背後の壁に背を寄せた。
「どのあたりを?」
 彼の声は遊んでいる。
「どこでもあなたの好きなところを……ね、恥ずかしいから、じらさないで。意地悪言うなら、わたし、もうやめちゃうから」
 千鶴が胸を隠して一歩退こうとすると、ルクロフの腕が素早く伸びてきた。千鶴の手首を摑むとそのままぐっと腰を引き寄せる。千鶴はあっというまにルクロフの腕の囚人になっていて、悲鳴を上げる隙さえなかった。
 ルクロフは千鶴の髪の中に鼻の先をうずめるようにして、けぶった声でささやいた。
「それは困るな。一度はじめたものは最後まで続けてもらわないと」
 低くて色っぽい声音に反応して、千鶴のうなじの毛がぴんと立つ。ルクロフはすでに服を着ていたけれど、彼のものは千鶴のおへその下に押しつけられていて、目に見るよりも明らかにその硬さと大きさを感じることができた。
 何度……何度抱かれても、千鶴はその度にルクロフの情熱の深さに驚かされ、ルクロフは千鶴への欲望をさらに募らせていった。
 ──こんなことって、ありえるの?
 ふたりは結婚の約束をした。後数週間……さらに冬が深まる頃には、ふたりはきっと夫婦になっている。でも、いつまでたってもこの緊張とときめきは静まる気がしない。
 ──もしかしたらルクロフも同じように思ってくれているの?
 声にならなかった千鶴の疑問に、声にならないルクロフの答えが返ってきた。彼は片手で千鶴の髪をひと束にして摑むとすくい上げ、むき出しになった彼女の首筋に唇を寄せた。柔らかにはじまった口づけはすぐに熱気をはらんだきついものに変わり、千鶴の肌に赤い刻印を残す。
「あ……つっ!」
 下がってきた唇に、鎖骨の端を嚙まれる。もしくは嚙まれていると錯覚してしまうような強さで肌を吸われる。
 同時に、ルクロフは千鶴の髪を摑んでいるのとは別のほうの手で、彼女の胸を包んだ。
 体が浮いてしまうのではないかと思えるほどの力でぐっと乳房を持ち上げられて、千鶴はあえいだ。間髪を入れずにルクロフの大きな手が千鶴の柔らかな乳房を揉みしだきはじめる。
「はぅ……う、んっ、ルクロフ……やぁ……」
 千鶴の声が熱をはらみはじめると、ルクロフの呼吸も荒いものになっていく。
「見せてくれ」
 と、ルクロフはささやいた。
「証明してくれ……お前は永遠に俺のそばにいると。この幸せは本物だと」
 赤く熟れて敏感になった乳首を、ルクロフの指がぐっと押す。ぷすりと乳房の中に頂がめり込み、甘い痛みが全身を駆け抜けた。
「や……いた、い……あんっ」
 千鶴が懇願すると、ルクロフの指は押しつけるだけの行為から、小さな円を描いて乳首を転がす行為へと移った。それは、かすかな痛みをともないつつも、千鶴の中の女を弾けさせる媚薬のような動きだった。
 これは千鶴が一番弱い愛撫だった。ルクロフはそれをよく知っている。
 髪を引かれ、首元を甘嚙みされ、乳房を蹂躙されて、千鶴は小刻みに震えながらルクロフの烈炎の情熱を受け入れようと必死で彼にすがった。この行為の果てになにがあるのか、ふたりがどこまでいくのか、不安と同時に期待が広がっていく。
 疑心暗鬼に駆られた時のルクロフは本人も御しきれないほど激しくなれる。
 時々訪れるそんな時、千鶴は心から彼を受け入れ、その不安を包み、心も肉体も、捧げられるすべてを差し出してきた。
 ルクロフは千鶴を傷つけたりはしない……。でも激情に流されるこんな時、彼は、壊れてしまうのではないかという極限まで千鶴を追いつめながら抱いた。
「う、ん……ひぁ……あぁ……ん、し、しょうめい……してあげる……から」
 まだはじまったばかりなのに、感じすぎて呂律が回らない。
 ルクロフのほうも、言葉にならないつぶやきを千鶴の耳元に吹き込みながら、さらに愛撫を強めた。
「あぁ……ん……!」
 ルクロフの唇が千鶴の胸に吸いついた。それも強く。
 頂をとらえるように乳首の周囲を軽く歯で固定され、硬くなった蕾を舌で乱暴に転がされる。刺激は快感となって千鶴の全身を駆け巡った。手足がひくつき、力が入らなくなる。
 千鶴が崩れ落ちそうになると、ルクロフはいったん唇を離した。
「お前は……甘い……甘くて、柔らかい」
 片手で千鶴の腰を抱き寄せながら、もう片方の手で千鶴の髪を撫ではじめる。優しさと激しさと皮肉の交じったとらえどころのない瞳が、じっと千鶴を見下ろしていた。
「だからこそ、いつかふっと溶けて消えてしまいそうな気がして、怖くなる」
 千鶴は息をのんだ。
 愛する男性からこれほどまでに求められて、心の躍らない女性はあまりいないはずだ。千鶴だって彼の激情の吐露に胸が高鳴る。体の芯が疼く。
 できるなら、彼の必要とするものをすべて与えてあげたかった。
「ルクロフ……」
 千鶴はそっと両腕を伸ばしてルクロフのほおを包んだ。少しざらついた寝起きの肌に指が触れると、ルクロフはやんわりとわずかに微笑んだ。
「そうやってお前の声が俺を呼ぶのを、ずっと夢見ていた。十四年間」
「他に……他には? 他にどんなことを……?」
 ルクロフの瞳が鋭く光り、千鶴を抱き寄せる力がぐっと強まった。髪を撫でくれていた手が、いつのまにか千鶴の首の後ろを強く摑んでいる。
「そんなことを知ってどうする?」
「だ、大事なことよ。離れていた間に欲しかったものを全部あげる。たくさん。そうすればきっと不安も減っていくわ……違う?」
 ルクロフは疑わしげに片眉を上げてみせた。だからといってひるむわけにもいかず、千鶴はできる限りの背伸びをして、大胆にも騎士に顔を近づけた。
「たとえば……キスとか」
「きす?」
「く……口づけのこと……です」
 明言してしまってから、千鶴はうろたえて後悔した。ルクロフの目に完全なる野獣の輝きが宿ったからだ。
「それでは……遠慮なくいただくことにしよう」
 そして与えられた口づけは、ついばむような甘いものからはじまり、すぐに舌で唇を割り入る激しいものへと流れていった。
「この感触だ。この、味だ。ずっと愛しかった。ずっと、恋しかった」
 身長差のせいで、ルクロフは千鶴に覆い被さるような格好で立ちながら、舌で彼女の口内を味わい尽くした。それはある意味、お互いの息を交換し合うような神聖なやり取りだった。
 ルクロフは千鶴の吐息から唾液、苦しげにあえぐ声までをも貪欲に吸い尽くしていった。そして千鶴は、ルクロフから与えられる愛情……力強さ……渇望……そういったものを受け取り、その身に染み込ませていく。
 ふたりはぴたりと体を合わせて、いつ終わるとも知れない長い長い口づけに身を任せた。
──十四年分の口づけ。
 過去の悲しみをうずめ、未来を築くもの。
 窓から揺らめく朝日がふたりの上に光りの雨を降らし、どこか遠くから聞こえる小鳥のさえずりがふたりのこれからを祝福するように響いている。
 ルクロフの言う通り、これは完璧な朝だ。完璧すぎて不安になってしまうほどの。
 やっとルクロフが唇を離した時、千鶴はもう体中の骨という骨が溶けてしまったのではないかと錯覚するほど力を失っていた。
「好きよ、ルクロフ……」
 小さな声でそうささやくと、ルクロフはしばらく黙って言葉の意味を──意義を、心に刻んでいるようだった。そして千鶴の額に優しい口づけを贈り、
「俺もお前を愛しているよ」
 と、告白を漏らした。
 ──この朝が永遠に続けばいいのに。
 千鶴がぼうっと恋に惚けた瞳でルクロフを見上げていると、ルクロフはやっと満足げに微笑んで、千鶴を抱いていた腕を緩めた。
(これで終わり?)
 激しい愛の行為が続くと覚悟していた千鶴は、少し拍子抜けした。いつもならこのまま、すべてを奪われるのに……。
 そんな千鶴のわずかな落胆と疑問を、ルクロフは読み取ったのかもしれない。ルクロフは急に千鶴をくるりと回転させて、背後から耳元にささやく。
「今朝は少し趣向を変えてみようか、チヅル」
 どこか悪魔じみたくらいの、低くて野性味溢れる声だった。
「え……? な、なに?」
 なんの抵抗にもならない、気の抜けた質問が千鶴の唇から漏れた。でもそんなものは無意味だと千鶴は知っている。きっと答えは、言葉ではなく行動で与えられる。
 ルクロフは背後から千鶴を軽く押して、前へ進むようにうながした。
 訳の分からないまま小刻みに足を動かしていると、ふたりはすぐに四柱式の寝台の前にたどり着いていた。
 ルクロフの寝台は、隣の小部屋にある千鶴の寝台よりも格段に大きかった。あちこちで波打つシーツが昨夜の名残りを雄弁に物語っている。
「残念ながら口づけだけでは足りない。お前がくれると言うのなら、遠慮なくすべてをいただくことにしよう……」
 耳の外形をそっと舐められる。ぞくりとした冷たい快感が背筋を上り、体温が上昇する。
「いやならそう言っていい。ただ……お前を傷つけないことは約束しよう。信頼してくれ」
「え……」
 背中を軽く押されて、千鶴の体はポンとシーツの上に投げ出されてうつ伏せに沈んだ。肩越しに振り返ろうとすると、ルクロフに優しく、しかし超然と遮られる。
「そのまま寝台の中央へ。うつ伏せのままで」
 断ることなどできなくて、千鶴は言われた通りに寝台の中央まで這って、そこにうつ伏せのまま止まった。
「どう、するの……?」
 声を出そうとすると喉の奥が震える。喉だけでなく、指先までが期待と不安に小刻みに揺れた。
「腕を伸ばして。両腕を、外に向けて」
 どくんと心臓が跳ねた。それでなくても完全に一糸まとわぬ姿なのに、あまりにも無防備でいやらしい……原始的な姿になることにわずかな抵抗を覚える。
 ──でも約束したの。欲しかったものを全部あげるって。
 千鶴は言われたように、寝台の中央で裸のまま、ゆっくりと両手を広げた。
 それを背後から見下ろしていたルクロフは、なにか聞き取れない単語を低くつぶやいた後、「いい子だ」と千鶴を称賛した。
 千鶴が羞恥にきゅっと唇を嚙むと、シュッという切れのいい衣ずれの音がした。
「あ、ルクロフ……」
 歴戦の戦士を恋人に持つということ。それはたとえばこんなふうに手首を縛られる時、容赦ないほど素早くやられてしまうということでもある。
 千鶴の手首は黒い絹でできた帯のような長い布に縛られ、素早く寝台の柱にくくりつけられていた。両方の手首を拘束するのに、ルクロフは二分もかけなかっただろう。痛いほどではない……でも、節々をツンと引っ張られるような感覚のある強度で、両手を開かせられる。
 肺が破れそうなほど呼吸が荒くなった。千鶴のものも、ルクロフのものも。
 次にくるだろうルクロフの指示を、千鶴はなんとなく予想できた。
 きっと脚を……。
「脚を開いて。両方だ」
 やっぱり……。千鶴はおずおずと、震える脚を開いていった。その恥ずかしさは両手を開く時よりもずっと大きく、あまりにも無防備な格好になることへの羞恥心と不安が渦巻く。
「傷つけないよ。俺を信じてくれ」
 ルクロフはもう一度、千鶴の安全を保障してくれる。ルクロフを疑っているわけではない。でも、これは究極の信頼が必要な行為だった。
「う……うん……」
 千鶴は完全に大の字になる形で脚を開いた。
 ルクロフはなにも強制していない。これはすべて千鶴が自らの意思で、彼の指示に従い、手を縛られ、脚を開くことに合意した結果だった。
 足首も、手首も、同じように縛られて寝台の支柱にそれぞれ繫がれる。
「ルクロフ……おねがい……おねがい」
 千鶴はもう、これ以上ありえないほどにルクロフの囚人になっていた。
 どうしてこんなことをするの? 疑問が頭をよぎる。確かにふたりの愛の行為ではいつもルクロフが主導権を握った。再会したばかりの頃、激情に駆られた彼に手首を縛られて抱かれたこともある。でも、あれは突発的なものだった。
 こうしてゆっくり順序を踏み、合意の上でこんなふうに千鶴を縛るのははじめてだった。千鶴の知る限り、ルクロフは激しいけれど、そういった趣味は持っていない……。
「もう少し待ってくれ。こうしてしばらく……お前を眺めさせてくれ」
 かすれた声が聞こえてくる。
 縛られた状態でなんとか肩越しに振り返ると、じっと千鶴の裸体を見下ろしているルクロフがいた。じっと……まるで千鶴の姿を魂に刻んでいるような……恍惚とした瞳で。
「どうして……し、縛る必要があるの……?」
 ルクロフはしばらく同じ姿勢のままで答えなかったから、答える意思がないのかと思って千鶴はぎゅっと目をつぶった。恥ずかしい。でも、これが彼の望んだことだ。
 すべての望みを叶えてあげると約束したのは自分……。
「どうしてかな」
 彼らしくないぼそりとした声が返ってきた。
「俺に縛られて動けないでいるお前を見ていると……。そうだな、象徴のようなもの、かもしれないな。二度と俺のもとから離れないという約束の具現を見ているようで……安心する」
「きゃんっ!」
 ルクロフの手が千鶴のふくらはぎを下から上へ撫で上げた。
 それ自体はなんでもない行為のはずなのに、縛られているせいで全身がかつてないくらい敏感になっている。ぶるりと体の芯が過剰反応した。
「そしてなによりも……美しい。チヅル、どの男にも、愛する女を縛りつけて動けなくして自分のものだけにしたいという欲求があるものだ。俺だけが例外ということはない」
「あ……あ……ルク、ロフ……」
「お前が許してくれるなら……受け入れてくれるなら、今朝はこうしてお前を抱きたい」
 ルクロフはゆっくりと、しかし迷いのない動きで千鶴の背後に覆い被さってくる。ルクロフの唇が肩甲骨に触れると、千鶴は全身を硬直させた。
 星が見えた。世界が揺れる。こんな……。
 恥ずかしい。動けなくて心細い。でも心のどこか奥深くで、女の本能が叫んでいる──愛する男性に支配される喜びを。
「いい、よ……ルクロフ……こうして、抱いて」
 震える声で千鶴が答えると、ルクロフの動きがぴたりと止まった。
「本当に?」
「うん……。い、痛くは、しないでくれるん……でしょう?」
「ああ。それは約束しよう。少なくとも傷痕が残るような悪さはしないよ。傷ついたお前の肌を見るのはつらいからな」
 そしてルクロフは熱い息を千鶴の背中に吹きかけながら、ゆっくりと上がっていった。背中に広がっていた髪をシーツの上にどかして、首のつけ根に唇を寄せる。
 ちくりと注射のような痛みがして、ルクロフの支配欲の証が赤い花となって千鶴の肌に刻印された。
 ──これは儀式なのかもしれない。ルクロフが千鶴を完全に取り戻したことを象徴する……そんな儀式。
 こうして千鶴の肢体を縛ることで、ルクロフは千鶴がどこにも行かない証拠を体感できる。
 象徴……。安心……癒し。一見、こんなに淫らで艶めかしい束縛なのに、彼の行為の裏にはそんな心の叫びが隠されていた。
 もしかしたら千鶴も、その最上の信頼をルクロフに与えることで、さらなる寵愛を受けられるのかもしれない。さらなる……快感を得られるのかもしれない。
 千鶴は深く息を吸うと、彼にすべてを預ける覚悟をした。
 その瞬間。
「あ……っ! そ、れ……ひ、あぁ……っ!」
 いつのまにかルクロフは衣服を脱ぎ捨てていたらしかった。熱くて厚い裸の胸が千鶴の背中に押しつけられる。そして後ろから両方の乳房を強く揉みしだかれた。
 両腕を広げているせいで、快感がより間近に迫ってくるのが分かった。
 動けないせいで、刺激から逃げる道もない。背中を圧迫されて千鶴はすべてを一身に受け止めるしかなかった。
「あぁ……あ、ん……つよ……つよすぎる……ル、クロフ……っ」
 ぴくりぴくりと体が跳ね震えるたびに、それがさらなる快感になって千鶴の頭のてっぺんからつま先までをつらぬく。ルクロフは千鶴の動きを押さえるように彼女の上に乗って、胸を愛撫しながら耳たぶを唇と舌でもてあそんだ。
 何度抱かれても、千鶴の奥はまるではじめて彼を迎えるように攣縮する。
 蜜が溢れ出すのを止められない。硬くそそり立った肉棒の先が尻の割れ目を刺すように触れて、それがますます千鶴の淫情を誘った。
 与えて。与えられて。
 ふたりの性交はただ快楽を求めるためだけのものではなかった。十四年にわたる孤独を癒すためのもの。時に激しすぎる彼の情熱を鎮めるための救いの手。
 離れ離れだったふたりの肉体をひとつに繫ぐ手段。
 時々、千鶴は、ふたりはもともとひとつの体を共有していたのではないかと錯覚する。同じ魂が神の気まぐれでふたつの体に分かれてしまっただけで、ふたりはひとつだった。だからこそ、これほど求め合わずにはいられないのだ、と。
 ルクロフと交わる時、千鶴はそれくらいの快感と安堵、そして愛を感じた。
「ん……ぁ……だ、だめ……これ、いじょう……」
「困った女だ、チヅル。まだはじまってもいない……俺達はまだはじまってもいない。すべてはこれからだ」
「は……んっ」
 ルクロフの片手が、艶めかしい動きで乳房から秘部へと下っていった。人差し指の腹が陰核に触れると、そこがすでに、ぬるりとした液で濡れそぼっていることが分かる。
 ルクロフは丹念に、執拗に、花弁を指でいじめた。
「やぁん……あ、あ……き、きちゃ……ぅ……あっ」
 絶頂の波が近づいてくると思わず手足を引こうとしてしまい、繫がれた部分が引きつるように痛んだ。動けないせいで、千鶴は否応なしにルクロフの存在を意識した。
 彼の動き、ひとつひとつを。
 すべての動作が持つ意味を、まっすぐに感じた──千鶴を悦ばせようとする指先。千鶴をとらえようとする腕。千鶴に愛をささやこうとする唇。
 千鶴はそのすべての受け皿になった。
「綺麗だ……チヅル……お前が悶える姿は……この世界のなによりも美しい」
「あぁ!」
 その言葉を合図に、ルクロフはその長い指を一本、千鶴の蜜壺にずぶりとうずめ込んだ。多分、中指を。同時に人差し指と親指で花弁をいたぶりながら、中指で膣をかき回す。
 もちろん胸への愛撫も続いていた。
 耳への侵略も終わらない。
 千鶴は体を大の字に縛られ、愛する男性に背後からすべてを奪われていた。実際に与えられる快感に加え、その淫らな想見が体の奥に眠っている『女』にさらなる火をつける。


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