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枯れた薔薇_カバー1

仮面伯爵は黒水晶の花嫁に恋をする

小桜けい / 著
氷堂れん / イラスト
ISBNコード 978-4-86457-316-0
本体価格 本体1,200円+税
発売日 2016/05/27
発売 ジュリアンパブリッシング

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内容紹介

【旦那様は、花嫁に骨抜きのご様子!?】
誰にも言えなかった秘密を君には打ち明けたい。俺の全てを受け止めてくれ。君への恋煩いは重症なんだ。
人嫌いで常に仮面を被っている、そんな評判の辺境伯ジェラルドのところに嫁ぐことになったクリスタ。妻ではなく後継ぎが欲しいと冷たく言い放つジェラルドだが――「君は、俺をおかしくする」彼もまたクリスタの優しさに触れて次第に心を開き始めていた。《信じてる、そして愛してる》ふたりの心が通い合った矢先、ジェラルドの秘密を巡って思わぬ事態が!?

立ち読み

「跡継ぎを作るのにさえ協力してくれれば、君にも俺を夫と扱えとは要求しない。他の男の子を孕まれるのは困るが、節度さえ守ればここで好きに暮らして良い。辺境伯夫人としての仕事は一切させないし、子爵領への援助も含めて金銭面での不自由もさせない」
「……」
 まるで書類でも読み上げるように、事務的に告げられ、クリスタは声を失う。
 真っ暗闇の中で、明かりの灯った部屋へ続く扉が開きかけたと思ったら、鼻先で手酷く閉められたような気分になった。
 どうやら、楽観的すぎたらしい。ジェラルドが城の人間には優しいようだから、自分もひどい扱いはされないだろうなんて、とんだ自惚れだった。
 大きく目を見開いたまま震えていると、彼の鋭い視線がクリスタへ突き刺さる。
「どうした? これらの条件は、事前に提示してあるはずだ。君はそれを全て了解のうえで来たと思ったが。何か手違いでもあったなら、早く言ってくれ」
 仮面をつけているので、彼の表情は解りにくいが、その声は明らかな苛立ちを含んでいた。
「……いいえ。お聞きしたうえで参りました」
 クリスタは小さな声で返答をした。強制的に受けさせられたものではあるが、それらを聞かされていたのは事実だ。
 するとジェラルドはなぜか、とても失望したように深く息をついた。
「そうか……では、遠慮は無用だな。両手を揃えて出してくれ」
「え? こうでしょうか?」
 クリスタは、胸元を押さえていた両手をおずおずと差し出す。
 次の瞬間、彼の動作は素早かった。上着のポケットから細長い布を取り出し、クリスタの両手首をひとまとめに縛り上げてしまう。
「きゃぁっ!? 何をなさるのですかっ!」
 反射的に後ずさろうとしたが、ジェラルドに軽々と抱え上げられてしまった。そのまま手首を戒める布の端を、寝台の上部に括り付けられてしまう。
 寝台へ仰向けに拘束されたクリスタを、ジェラルドが冷ややかに眺める。
「顔を絶対に見られたくない。閨ではどうしても隙が出来るし、君に仮面を剝がれては堪らないからな」
「そんなことしません!」
「君を信用する気はないと言ったはずだ。用心は幾重にもするに越したことはない」
 抗議は、あっさりと仮面の表面を滑り落ちた。
 ジェラルドは、今度は少し幅広の黒い布を取り出すと、それでクリスタに目隠しをしてしまった。頭の横で布が結ばれ、厚い布に視界を完全に閉ざされる。
「いやぁっ」
 恐ろしさに悲鳴をあげると、暗闇の中で彼のため息が聞えた。
「すまないが、これだけは辛抱してくれ。他に手荒な真似はしない。まぁ、婚約者がいたなら、抱かれるのも初めてではないだろう? そんなに脅え……」
 ジェラルドの声が途切れたのは、必死にクリスタが首を振っているのに気づいたからだろうか。彼が息を呑んで後ずさるのを感じた。
「――は? まさか……」
 引き攣ったような彼の声に、クリスタは恥を忍んで訴える。
「頭が固いと思われるでしょうが……そういった事は、正式に結婚するまではと……ですから……」
 閨の事に慣れていない身で、仮面を剝ぎ取る余裕などない。手を外してと言いたかったのだが、ジェラルドが急いで寝台を下りる気配がした。
「っ! すぐに戻る」
 ひどく焦ったような声で彼が言い、部屋を出て行く音が聞える。ついでに鈍い音がしたのは、どこかにぶつかりでもしたのだろうか……?
 唐突な展開に、クリスタはしばしポカンとしていたが、ジェラルドはすぐ戻ってきた。
 部屋の鍵がかけられる音と、何度か深呼吸するのが聞こえる。
 寝台が重みでギシリと軋み、間近になった人の気配と肌に触れる硬い上着の感触に、クリスタは我に返った。
「お、お願いです、離して……お顔を見ようなどと、絶対に、誓って……」
 動揺と羞恥に、心臓が壊れそうなほど早く打つ。
 しかし、懸命な訴えはすげなく無視された。
 返答のないまま、ジェラルドの指が耳元を掠めた。髪飾りが外される気配がする。
 一応、初夜のしきたりを行う程度の気遣いはしてくれるのだろうか。続けて手袋を外されると、驚きに息を呑むような音が聞こえた。
「随分と手が荒れているな」
 意外そうな声で呟かれ、クリスタの頰にカッと血が上る。同時に、目の奥が痛くなってじわりと熱い水が滲みだすのを感じた。
 こんな、なんでもない一言で、と思うのに。大切に守ってきた領地を奪われ、子を産むための道具に売られても、泣くまいと耐えていたはずなのに……。
 飽和状態だった感情は、思わぬ最後の一滴を加えられて零れてしまった。
 貴族令嬢とは思えぬ手だなどと、自分でもとっくに承知だ。
 毎日、領地の牧場や農場を手伝いに回るから、クリスタの手は日焼けして皮膚が硬くなって荒れている。爪は色を付けることもなく常に短く切り、書類を書き続けた指にはペンダコが出来ている。
 ステファニアやデボラにはたびたび荒れた手を揶揄されたし、彼女たちの綺麗な手が羨ましく見える時もあったけど、この程度で領地を立て直せるのなら結構だと思っていた。
 しかし……昨日からずっと考えていた。
 もしも、自分が異母妹のように可愛らしい容姿で、手肌も綺麗に保っていたら、ミケーレも裏切るのを思いとどまってくれたのでは……?
 元婚約者が悪辣な男だったと思いつつ、彼がデボラと組んであんな裏切りを働いたのは、クリスタが女性としての魅力に欠けているのも原因だったのではないか……?
 悔し涙が溢れてきて、目隠しの布を濡らす。
 ジェラルドの声が明らかな嘲笑や罵倒ならば、怒りや相手への嫌悪感の方が先立っただろう。
 貴方こそ、私が大切に手入れされた箱入り娘などではないと承知だから、デボラから品物も同然に買ったのではないかと、いっそ開き直れたかもしれない。
 けれど彼の声は、本当にただ驚いているようだった。まるで、クリスタが綺麗な手をしているのは当然だと、心底から思っていたようで……だから、余計に悔しかった。
 ジェラルドからも改めて、魅力なしの粗悪品と烙印を押されたような気がした。
「っ……綺麗でなくて……ご期待に添えられなくて、申し訳ございません」
 嗚咽を呑み込んでようやく言うと、彼の声がした。
「そうじゃない。意外に思っただけで……」
 ようやく聞き取れるほど小さくなったその声は、なぜか困惑しているように聞こえた。そして、さらに慎重な様子で、もう片方の手袋も外される。
「……クリスタ。君は一体……」
 ジェラルドは何か言いかけたが、そこで言葉を切ってしまった。指先に微かに吐息を感じ、柔らかな感触が触れた。
 それが何か、良く考える間もなく、寝衣の帯がシュルリと解かれる。
 裸身が空気に晒され、クリスタは反射的に身を硬くする。寝衣の下に着けているのは、陰部を覆う小さな下着だけだ。
 視覚が阻まれた分、他の感覚が鋭くなったのか、ジェラルドの視線を肌がチリチリと感じ取る。羞恥に体温が上昇し、胸の先端が妙にむずむずする。
 視線から逃れたくて思わず身をよじると、乳房がみっともなく揺れてしまうのが解る。
 居たたまれなさにクリスタは目隠しの下で強く目を瞑った。
「やはり、君の言葉は信用ならないな」
 低い男の声が、クリスタの鼓膜に冷たく刺さる。
「触れてもいないのに、もうここが尖ってきた」
 次の瞬間、片方の胸の先端を摘まれて、クリスタの身体にビリリと強い刺激が走る。思わず喉を反らし、小さく悲鳴をあげた。
「っ! あっ!」
「初めてと言い張るが、その割には随分と感じやすいじゃないか」
 嬲るような言葉を吐きつつ、ジェラルドは片手で左胸の膨らみを摑む。大きくて硬い男の手が、掬い上げるように膨らみを寄せて揉みながら、指先で先端を弾いた。
「あっ! ほ、本当にっ……ん、ぁっ!」
 軽く弾かれるだけで、胸の奥へ突き刺さるような刺激が走り、クリスタの喉から自分でも驚くほど甘ったるい声が漏れる。
 慣れない感覚から逃れたくて頭を左右に振るが、もう片方の手で顎を摑まれ固定されてしまった。
「口づけはどうなんだ?」
 不機嫌そうな声で尋ねられ、とっさにクリスタは意味を摑みそこねる。
「……え?」
「こうされるのも初めてなのかと尋ねている」
 唇が柔らかいもので塞がれた。何か生ぬるいものが唇を這い、すぐに口内へ侵入する。
「んっ!? んんーっ!」
 驚きのあまり、ジタバタと脚で敷布を蹴るが、重い身体にのしかかられて動きを阻まれる。
 口内を嬲る柔らかいものは、徐々に温度を増し、それと同じ程クリスタの口も熱く火照っていく。歯列や頰の裏側を丁寧になぞられ、舌に絡み付いて吸い上げられる。混乱しきった頭の中で、それがジェラルドの舌だと何とか気づいた。
 気づいた途端、羞恥も倍増したが、逃げられはしなかった。ジェラルドはクリスタを組み敷いたまま、なおも口内を蹂躙し続ける。
 胸を弄る手も休まず、強く握りこまれて先端を指の腹で押しつぶされると、身体の奥から、ざわりとした感覚が呼び覚まされる。
 飲み下せない唾液が口端から零れ落ち、クリスタは塞がれた喉奥で何度もくぐもった悲鳴をあげた。
「ん……っは……」
 酸欠で朦朧とし始めたころ、ようやく唇を解放された。大きく開かされていた口も舌も痺れきって、小さく痙攣している。
 名残惜しそうに唇をチロリと舐められ、クリスタはびくりと肩を戦慄かせた。
「ひっ」
「そんなに怯えなくても、嚙みつきはしない。……もっとも、俺についてはろくでもない噂しか聞いていないだろうから、無理もないが」
 どことなく自嘲めいた笑い声をたて、ジェラルドはすっかり熱くなった舌をクリスタの首筋に滑らせていく。
 嚙みつきはしないものの、首筋を何度も痛いほど吸われた。 
 首筋から肩、鎖骨へと舌は這い、やがて乳房に到達する。散々に指で弄られてじんじんと熱を持っている胸の先端を舐め上げられ、クリスタは大きく身体を震わせた。
「あっ! い、やぁっ!」
 ぬるりと舐めた後、咥えて吸い上げられる。指で弄られる時とはまた違う感覚に背骨が震え、さっきの悲しみとは別の涙が浮かんでくる。
 ジェラルドは両手で左右の胸を寄せ、先端を指と舌で交互に弄り続ける。
 執拗に舐めしゃぶられ、指で摘まれるうちに、下腹部の奥がじんわりと熱を帯びてくるのを感じた。
 ガクガクと手足が震えるのを止められず、胸から離れた彼の手に脇腹をするりと撫でられると、ビクンと勝手に腰が跳ねた。
「本当に、感じやすいな」
 胸の先端を口に含んだままジェラルドが笑い、微妙な振動が堪らない刺激となってクリスタを襲う。
「う、ぁ……違……っ ああっ!」
 とっさに言い返してしまうと、両胸の先端を指できゅっと摘まれた。
 頭からつま先まで駆け抜けた強い刺激に、高い声を放って喉を反らすと、そのまま喉首を軽く咥えられる。
 ぬめる舌が首筋を辿って上り、耳の後ろを舐め上げる。耳朶を甘く嚙まれ、濡れた音が大きく鼓膜を打った。
「違わない。少なくとも俺には、気持ち良くなっているように見える。君は噓つきだな」

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