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猫かぶり_カバー1

ケダモノ彼氏に捕食されました

嘉月 葵 / 著
由貴海里 / イラスト
ISBNコード 978-4-908757-19-8
サイズ 文庫
本体価格 本体648円+税
発売日 2016/08/05

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内容紹介

焦らしまくりやがって。もう逃がさないから覚悟しろよ。
気難しくて人間嫌いだけど超売れっ子なキャラクターデザイナー、桧山誠に気に入られ、担当編集となってしまった七海。不遜で傲慢、他人を寄せ付けない雰囲気ながら七海だけに見せる優しさに、胸がときめいてしまう。「お前が啼けば啼くほど、煽られてたまらない」美形な顔に黒い笑みを浮かべ、貪るような激しいキスをする桧山に、淫らに乱されていく七海。「俺はただ、お前が欲しかっただけの欲深い男だ」仕事もプライベートも、イジワルな俺様彼氏に可愛がられる、甘くて苦い極上ラブ❤
★初回限定★
特別SSペーパー封入!!

人物紹介

深瀬七海

出版社秀創社の総務部に勤めるOL。
ひょんなことから編集部の助っ人として桧山の担当に。

桧山誠

ゲームのキャラクターデザイナー。
大勢のゲームファンだけでなくその容姿から女性にも絶大な人気がある。

立ち読み

「んっんっ、あっ、ぁああっ」
 爪先から何かが込み上げてくる感覚に、七海は顔を大きく左右に振る。
 瞼を強く閉じているため、視界は真っ暗だ。それなのに、闇がだんだんと白みがかってくる感覚がした。
 何かがくる。
 そんな感覚に迫られた瞬間、花芽を強い衝撃が襲った。桧山の歯が軽くそこに触れたのだ。刹那、七海は大きく目を見開き、身体を弓なりに反らせた。
「あっ、んっ……あああぁっ」
 びくんびくんっと身体を何度もバウンドさせ、初めての絶頂を迎え入れる。
 苦しくて、気持ちいい。どこかに放り出されるような感覚がするのに、それを与えてくれた愛する人はすぐ傍にいる。
 荒波が去り、それらの矛盾に不思議な気持ちで身体を震わせていると、上気した七海の頬の上を桧山の唇が滑り出した。
「んっ、まだ、だめです」
 唇が肌を掠めるだけでも、身体が弾んでしまう。むずがる子供のように身を捻り、力なく握った拳で桧山の肩を叩く。
 もちろん、なんの抵抗の効果もない。むしろ、桧山を喜ばす結果となってしまったようで、耳元では愉快そうに喉を鳴らす声が聞こえてきた。
「そろそろ指だけじゃなく、俺も迎え入れてほしいんだが?」
 愉快げな声の中に、確かな熱情が込められている。
 この先に進むのは、ほんの少し怖い。けれど、彼にも気持ちよくなって貰いたい。何より、自分の全てを与えたい。
 そんな思いで七海は小さくうなずき返した。
「わっ、私も、……ほしいです」
 まさか、直接的な回答が貰えるとは思わなかったのか。桧山は珍しく驚いた顔をした後、口元を手で覆い隠した。
「先生?」
 そっぽを向く桧山を見て、何かを間違ってしまったのかと心配になる。
 思わず呼び名を元に戻してしまうと、桧山の瞳がゆっくりと自分に戻ってきて小さく睨まれた。
「いろいろ忠告してやったはずだが、お前の学習能力のなさは筋金入りだとよくわかった」
「え? きゃっ」
 言い捨てるなり、足を再度ぐっと開き、右手で七海の左の太腿を肩に担ぎ上げる。そのまま尖らせた舌でつっと白い肌を舐め、強く吸い上げた。
「駄目です。痕が残っちゃう」
「俺以外、誰も見ないだろう? 他の奴が見るなんて、そんなことは許さない」
 強い瞳に射抜かれ、宣言される。同時に、前方に身体を倒してきた桧山に唇を塞がれた。
「ふっ、んっんっ」
 奪うようなそれではない。舌先を触れ合わせ、まるで七海を誘っているかのように蠢く。
 対して、七海も桧山を喜ばせようと懸命に自分から舌を絡ませた。
 ぴちゃぴちゃという互いの舌が奏で出す音。その合間に、金属音や布の擦り切れる音が聞こえてくる。
 やがてそれらがやむ頃、逞しい腕が七海の身体を抱きしめた。
 ぴったり寄り添う互いの体温に、何も身に纏わず抱き合えることの幸福を思う。
「怖いか?」
 七海の身体がその意志とは関係なく震え出す。それは未知なるものへの恐怖でも、桧山が向けてくる情欲に対して怖気づいたのでもない。
 歓喜に似た思いからだった。
 軽く首を振って否定すると、桧山は目を細めておもむろにベッドの端に手を伸ばす。そしてチェストから取り出した小箱を手に準備を済ませると、再び七海の上に覆いかぶさってきた。
「痛かったらちゃんと言えよ」
 忠告してから、すぐに蜜口に熱い塊が押し当てられる。右手を使って楔の先端に蜜をまとわせるように動かした後、桧山はゆっくりと七海の中に押し入ってきた。
「ッ」
 指とは比較にならないほどの圧迫感。めきめきという音が頭の中で鳴り響く。そこが裂けてしまうのではないかとすら思えた。
 駄目だ、悲鳴を堪え切れない。
 血の味がするほど唇を噛みしめても、僅かな隙間から声が漏れ出そうになる。
 痛みに耐えられず目を開くと、次の瞬間、一瞬だけ痛みが吹き飛ぶような感覚がした。苦悶の表情を浮かべた桧山が見えたからだ。
 こういう時、男性も痛みを感じるものなのだろうか。だとしたら、自分はどうすれば彼を救うことができるのか。
 七海はみしみしと悲鳴を上げる身体に鞭を打つように、掠れた声で囁いた。
「痛い、ですか?」
 眉間に指を当てて問いかける。すると、桧山は苦笑いを零し、親指で七海の唇を摩った。
「馬鹿、それはお前だろ。俺はその逆だ」
 痛いの逆。それはつまり気持ちいいということだろうか。
 疑問に思った瞬間、全身に強い衝撃が駆け巡った。
「悪い」
「痛っ!」
 ずんっと一気に身体を串刺しにされた衝撃に、七海は悲鳴を上げる。
 強い痛みはほんの一瞬で過ぎ去ってくれたが、ずきずきと身体の芯から響いてくる鈍痛が絶えず襲ってきた。
「七海、ちゃんと呼吸しろ。その方が辛くない」
 奥深くまで繋がった体勢のまま、桧山が優しく七海の頬を叩いて助言する。素直にそれに従うと、確かに少しだけ痛みが遠のく感覚がした。
 呼吸が整った頃合いで、七海がうっすらと瞳を開ける。
 優しい瞳に映し出されるのは、今日だけでももう数えきれないほどだ。でも、まだ慣れない。
 この瞳に慣れて、愛されることにも慣れる日がくるのだろうか。答えは誰にもわからないけど、その答え合わせがいつかの遠い未来にできればいい。
 そう思い、七海はそっと微笑んだ。
「あの、もう……」
 言わんとしていることは伝わったのか。桧山が掠れた声で問いかけてくる。
「本当に大丈夫か?」
「せんせ、誠さんは心配症ですね」
 それは自分の専売特許にして貰いたい。努めて明るく言うと、桧山は目尻を上げた。
「覚悟しろよ」

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